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介護の基礎知識

地域密着型サービスとは?10種類のサービス内容と利用条件をわかりやすく

地域密着型サービスは「住民じゃないと利用できない?」「どんなサービスがあるの?」と思っていませんか?

「地域密着型サービス」はその名のとおり、その地域の住民のための介護サービスです。地域によりサービスの種類は異なりますが、全部で10種類のサービスがあります。

いずれも一般的な施設よりも小規模で、通いの施設では利用者同士も顔なじみになりやすく、細かなニーズにも柔軟に対応できるという特徴があります。

この記事では「地域密着型サービス」について

  • サービス10種類とその内容
  • 利用条件

などについて、わかりやすく解説します。

この記事を読んでいただければ、「地域密着型サービス」の内容が理解でき、きっと、無理をせずに介護のプロに頼ることが大切なポイントでもあることに気づきますよ。

※当該記事に関する個別のお問い合わせは受け付けておりません。また、記事中の触れられている法的見解についての責任は一切負いかねます。所管の自治体窓口または弁護士などの専門家にご相談ください。「そよ風」のサービスに関してのお問い合わせや不明点は、お問い合わせフォームより受け付けております。

1.「地域密着型サービス」とは地域住民のための介護サービス

「地域密着型サービス」は、住み慣れた地域でできる限り生活を続けていくことができるよう、地域住民のために提供する介護サービスで、市区町村が事業者の指定や監督を行います。

施設は地域住民と交流が持てるような立地にあり、小規模で利用者同士やスタッフと顔なじみになりやすく、環境の変化が苦手な方でも安心して利用しやすい環境といえます。

また、利用者のニーズにきめ細かな対応ができたり、滞在時間を少なくすることで回数を多くできる訪問サービスなど、柔軟にサービスが設計されています。

市区町村が指定や監督を行うことから、介護する方にとっても大切な家族を安心して任せることができます。

2.「地域密着型サービス」の利用条件はその地域に住民票があること

「地域密着型サービス」を利用するためには、以下の3つの条件を満たしている必要があります。

  1. サービス事業者のある市区町村に住民票がある方
  2. 要介護認定を受けている方(サービスの種類により追加条件あり)
  3. 65歳以上(40~64歳で特定疾病により要介護を受けている方も含む)

地域住民にきめ細かなサービスを提供するといった趣旨の介護サービスのため利用するには、その地域に住んでいる証明書として住民票が必要となります。

そのうえで、どのサービスを利用するのがよいかなど、ケアマネジャーに相談しましょう。

相談窓口

  • ケアマネジャー
  • 地域包括ケアセンター
  • 市区町村の福祉課

なお、「地域密着型サービス」はほとんどが要介護の方向けのサービスですが、要支援の方向けには別途、以下の4つの介護予防を目的としたサービスが設けられています。

  1. 地域密着型介護予防サービス
  2. 介護予防認知症対応型通所介護
  3. 介護予防小規模多機能型居宅介護
  4. 介護予防認知症対応型共同生活介護(要支援2のみ)

2-1 市区町村を超えたサービスの利用ができることもある

地域密着型サービスは原則、地域住民のみが利用できる介護サービスですが、市区町村間で利用の協議が行われ、同意が得られている場合は、その市区町村の地域密着型サービスを利用することができます。

また、「住所地特例」の方は、他の市区町村に転出されても、介護保険は異動前となるため、元の市区町村の地域密着型サービスの利用が可能です。

問い合わせ窓口

市区町村の福祉課

「住所地特例」について詳しい内容を知りたい方は「老人ホームに入るときは住民票を移そう!メリットと住所地特例制度も」の『3.「住所地特例制度」を利用すると保険料が変わらない』もあわせて読んでみてください。

3.「地域密着型サービス」の種類10サービスと利用条件

地域密着型サービスの種類は全部で10サービスあり、お住いの市区町村により、実施しているサービスの種類が異なります

では、具体的にどんなサービスがあるのかみていきましょう。

<地域密着型サービス>

種類利用条件
1定期巡回・随時対応型訪問介護看護要介護1~5
2夜間対応型訪問介護要介護1~5
3地域密着型通所介護要介護1~5
4療養通所介護重度要介護、がん末期患者
5認知症対応型通所介護認知症と診断された要介護1~5
6小規模多機能居宅介護要支援1・2、要介護1~5
7認知症対応型共同生活介護認知症と診断された要支援2、
要介護1~5
8地域密着型特定施設入居者生活介護要介護1~5
9地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護要介護3~5(要介護1・2の特例あり)
10看護小規模多機能型居宅介護要介護1~5

次に、各サービスの内容を詳しくみています。

3-1「定期巡回・随時対応型訪問介護看護」は24時間対応の介護が必要な方向け

「定期巡回・随時対応型訪問看護」は、要介護度の高い方や一人暮らしの高齢者、認知症をもつ方が住み慣れた自宅で安心して生活をつづけていくための介護と看護を自宅で受けられるサービスです。

日中・夜間を通して、訪問介護と訪問看護が連携して、定期巡回の訪問はもちろん、緊急時にも対応します。

一例として、以下のようなサービスを受けられます。

  • 入浴や排泄、食事などの介護
  • 療養生活を支援するための看護
  • そのほか日常生活を送るうえで必要な介護サービス
<利用対象>
要介護1~5の方

定期巡回・随時対応型訪問介護看護について、詳しい内容を知りたい方は「定期巡回・随時対応型訪問看護とは24時間対応の訪問介護サービス」の記事を参考にしてみてください。

3-2「夜間対応型訪問介護」は夜間にも介護が必要な方向け

「夜間対応型訪問看護」は、主に18時から翌朝8時の夜間の時間帯に受けることができる定期巡回の訪問介護サービスです。また、緊急時にも対応してくれるので安心です。

一例として以下のようなサービスが受けられます。

  • 夜間帯の定期的な訪問による排泄の介助や安否確認などの定期巡回サービス
  • 夜間に急に体調が悪くなった時に救急車の手配や、転倒して自力で起き上がれないときのホームヘルパーの手配などのような随時対応サービス
<利用対象>
要介護1~5の方

夜間に介護が必要な方にとっても、介護をするご家族にとっても心強い味方です。

間対応型訪問介護について、詳しい内容を知りたい方は「夜間対応型訪問介護とは介護保険サービスの1つ!メリットや料金など」の記事を参考にしてみてください。

3-3「地域密着型通所介護」は小規模でアットホームなデイサービス

 「地域密着型通所介護」は、利用定員18人以下の小規模なデイサービスで、日帰りで通常のデイサービスと同様のサービスを受けることができます。

  • 食事、入浴、排泄など日常生活上の支援
  • 機能訓練や口腔機能向上サービス
  • レクリエーション など
<利用対象>
要介護1~5の方

小規模であることから、スタッフや他の利用者と顔なじみになりやすくアットホームな雰囲気です。また、スタッフの目も行き届きやすいという特徴があります。

ただし、一般的なデイサービスに比べると費用が高めというデメリットがあります。

3-4「療養通所介護」は常に看護師による観察を必要とする方向け

「療養通所介護」は、常に看護師による観察を必要とする難病や認知症、脳血管疾患後遺症などの重度要介護の方または、がん末期患者を対象としたデイサービスです。

日帰りで施設に通い、医師や訪問看護ステーションと連携して以下のようなサービスが提供されます。

  • 食事、入浴、排泄など日常生活上の支援
  • 機能訓練や口腔機能向上サービス
<利用対象>
重度要介護、がん末期患者

医療スタッフのもとで健康管理を行いながらサービスを受けられるので、経管栄養が必要な方や食事の全介助が必要な方なども安心してサービスを受けることができます。

また、ご家族にとっても介護負担の軽減に役立ちます。

3-5「認知症対応型通所介護」は認知症をもつ方を対象としたデイサービス

「認知症対応型通所介護」はサービス内容は一般的なデイサービスと変わりませんが、認知症に関する専門的なケアを受けることができます。

また、定員が12名以下と規模が小さく、環境の変化が苦手な認知症を持つ方にとって、いつもの顔なじみのスタッフや利用者がいる環境は安心して通うことができます。

日帰りで以下のようなサービスが受けられます。

  • 食事、入浴、排泄など日常生活上の支援
  • 健康管理
  • 機能訓練
  • レクリエーション など
<利用対象>
認知症と診断された要介護1~5

アットホームな雰囲気のなかで認知症に対しての専門的なスタッフが、認知症を持つ方一人ひとりにあった対応をしてくれるので、一般的なデイサービスになじめなかった方でも安心して通うことができます。

3-6「小規模多機能型居宅介護」は3つのサービスを組みあわせて利用できる

「小規模多機能型居宅介護」は様態や希望によって、施設への「通い(デイサービス)」を中心として、短期間の「宿泊(ショートステイ)」、自宅への「訪問(ホームヘルプ)」の3つの介護サービスを組みあわせて、日常生活上で必要な支援や機能訓練のサービスを受けることができます。

また、いずれも同じスタッフがケアを行ってくれるので、安心感があります。

<利用対象>
要支援1・2、要介護1~5

小規模多機能型居宅介護について、詳しい内容を知りたい方は「小規模多機能型居宅介護とは?概要・メリット/デメリット・費用など」の記事を参考にしてみてください。

3-7「認知症対応型共同生活介護」は認知症をもつ方に特化した介護施設

「認知症対応型共同生活介護」は、認知症をもつ方を対象にした専門的なケアを提供する施設「グループホーム」です。5~9人のユニットとよばれる少人数のグループごとに、家庭的な雰囲気のなかで共同生活を送ります。

また、認知症ケアの知識や経験がある介護スタッフが24時間体制で適切なケアを行ってくれます。施設の日常生活ではリハビリの一環として、利用者が家事を分担するなど役割をもちます。

認知症の進行を防ぐなど、認知症に対する症状から生活のサポート、身体的なサポートまで安心して任せられる環境があります。

<利用対象>
認知症と診断された要支援2、要介護1~5

認知症対応型共同生活介護について、詳しく知りたい方は「グループホームとは?認知症ケアに特化したサービス・費用・選び方」の記事を参考にしてみてください。

3-8「地域密着型特定施設入居者生活介護」は4つの小規模な老人ホーム

「地域密着型特定施設入居者生活介護」の「特定施設入居者生活介護」とは厚生労働省の定めた基準を満たしている施設で、一般的に「特定施設」と省略で呼ばれます。

施設の種類は以下の4つで、「地域密着型」の施設の入居定員はいずれも29人以下と小規模です。

  1. 有料老人ホーム
  2. サービス付高齢者向け住宅
  3. 養護老人ホーム
  4. ケアハウス

一例として以下のようなサービスを受けられます。

  • 食事や入浴、排泄などの介護サービス
  • 居室の掃除や洗濯などの生活支援サービス
  • 機能訓練 など
<利用対象>
要介護1~5

介護職員のサポートがどのくらい必要か、外部サービスを自由に使える方がいいのかなどで選ぶ施設は異なってきます。ケアマネジャーに介護される方やご家族が希望する内容を伝え相談してみましょう。

また、施設を選ぶ際には資料やホームページを見るだけではなく、必ず見学することをおすすめします。

3-9「地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護」は小規模の特別養護老人ホーム

「地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護」は特別養護老人ホームで「特養」と省略で呼ばれ、常時介護が必要で、自宅での介護が困難な方が入居できる施設です。一般的には定員30人以上ですが、地域密着型は定員29人以下の小規模です。

一例としては以下のようなサービスを受けられます。

  • 食事や入浴、排泄などの介護
  • 機能訓練
  • 療養上の世話 など
<利用対象>
原則、要介護3~5

明るく家庭的な雰囲気があり、地域や家族との結びつきを重視した運営を行うこととされています。

要介護3以上の方が入居できる施設で、要介護1・2の方は、やむをえない理由がある場合以外は入居できません。

3-10「看護小規模多機能型居宅介護」は小規模多機能型居宅介護+訪問看護

「看護小規模多機能型居宅介護」は平成24年の介護報酬改定で創設されたサービスで「複合型サービス」という名称でしたが、サービスのイメージがしにくいということから、平成27年の介護報酬改定で「看護小規模多機能型居宅介護」と名称変更されました。

サービスの内容をわかりやすく言うと小規模多機能型居宅介護であげた、施設への「通い(デイサービス)」を中心に、短期間の「宿泊(ショートステイ)」、自宅への「訪問(ホームヘルプ)」の3つの介護サービス加え、「訪問看護」が追加されたものです。

これにより、医療ニーズの高い方も安心して自宅で過ごすことができるようになります。

具体的には、以下のようなニーズのある方を支援するためサービスです。

  • 退院直後の自宅での生活へのスムーズな移行
  • がん末期などの看取り期、病状が不安定な時期の自宅での生活継続
  • 介護する家族のレスパイトケアや負担軽減 
<利用対象>
要介護1~5

介護と看護が同じ事業所で行われることから、状況に応じてタイムリーに連動されるので利用する方にとっても、そのご家族にとっても心強く安心感があります。

さいごに

いかがでしたか?

地域密着型サービスは、地域住民が住み慣れた地域でいつまでも安心して暮らし続けられるための介護サービスです。

一般的なサービスと比べ、小規模であることから利用者の細かなニーズにも対応しやすく、スタッフも顔なじみで家族のように安心感を得やすい環境というのが特徴の一つでもあります。

また、地区町村が事業者の指定や監督をしていることから、ご家族としても大切な家族を安心して任せることができます。

介護を受ける方の性格や症状を踏まえ、どのようなプランが最適か、ケアマネジャーに相談しながら活用しましょう。

※当該記事に関する個別のお問い合わせは受け付けておりません。また、記事中の触れられている法的見解についての責任は一切負いかねます。所管の自治体窓口または弁護士などの専門家にご相談ください。「そよ風」のサービスに関してのお問い合わせや不明点は、お問い合わせフォームより受け付けております。

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この記事の監修者

株式会社SOYOKAZE
事業統括本部部長(拠点サポート部署)
渡邉 祐貴
介護福祉士・介護支援専門員


介護現場に10年従事し管理者、生活相談員、計画作成担当者など様々な役務をデイサービス、ショートステイ、グループホームで経験。介護福祉士、介護支援専門員等の資格を取得し、介護の専門性を磨く。
その後、現在の役職となり介護業界での経験は約20年。
現場の感覚を忘れずに、課題や問題点を抽出し、その対策に日々取り組んでいる。

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