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介護食を作ってみたいけど、どう作ったらいいのかわからない。
食事を作っても思うように食べてくれない。
こんなお悩みありませんか?
思うように食事を食べてくれないのは、食事の形態があっていないことが1つの要因かもしれません。
加齢により、噛む力や飲み込む力が徐々に低下し、これまで食べてきたものでも、食べにくいと感じるようになります。それにより食欲が落ち、身体に必要な栄養分が不足気味になったり、体力が落ちることがあります。
また、無理に食べようとすると、食べ物が気管に入ってしまう誤嚥(ごえん)を起こしてしまい、むせ返しや肺炎、窒息の原因にもなります。「介護食」というと何か特別なものや難しいものと思う方もいるかもしれませんが、あくまで「その方が食べやすいようにした食事」です。
一見、難しいと思いがちですが、少し手を加えたりコツを掴むだけで簡単に作れるようになります。
種類は多くありますが、基本的には4つに分類され、「噛む力」と「飲み込む力」にあわせた食事形態にします。
ここでは「介護食」の
についてまとめて紹介します。
この記事を読んでいただければ、初めての方でも「介護食」について簡単に理解できて、すぐに役立てていただけますよ。
※当該記事に関する個別のお問い合わせは受け付けておりません。また、記事中の触れられている法的見解についての責任は一切負いかねます。所管の自治体窓口または弁護士などの専門家にご相談ください。「そよ風」のサービスに関してのお問い合わせや不明点は、お問い合わせフォームより受け付けております。
加齢によって、噛む力や飲み込む力が徐々に低下して、誤嚥などの食事中のトラブルも多くなってきます。そのために、食べやすい工夫をした食事=「介護食」が必要となってきます。
介護食は、固形のままでやわらかく加工したものや、ペースト状のもの、きざんで食べやすくしたものなど様々ありますが、基本的に以下の4つに分けられます。
調理のポイントなどの説明の前に、高齢の方が実際どのようなものが「食べにくい」と感じるのかを見ておきましょう。具体的な食品とその対応例を下記に一覧でまとめます。
おいしく、安全に食事をするためには、その方にあったやわらかさや形状にすることが重要です。
食べやすくするポイントは2つ
このポイントを踏まえた基本的な調理法やメニューをみていきましょう。
(1)かたいものは、煮込む・蒸す・つぶす・する
(2)サラサラした液体は、とろみ材を使う
市販のとろみ材や片栗粉、コーンスターチでとろみをつけます
(3)バラバラしたものは、つなぎでまとめる
マヨネーズやドレッシングなどの油脂食品、卵、小麦粉でつなぐ、餡かけにする
(4)パサパサするものは、水分を含ませる
(5)ゼラチンやとろみ材でゼリー状に固める
ミキサー、フードプロセッサー、ハンドミキサー、すり鉢 など
・肉:ハンバーグ、麻婆豆腐、グラタン、クリーム煮 など
・魚:マグロの刺身、ウナギの蒲焼(皮は除く)、さわらの西京焼、鮭のマヨネーズ焼
・卵:温泉卵、茶わん蒸し、スクランブルエッグ
・大豆:豆腐、ひきわり納豆、生湯葉
・野菜:煮びたし、炊きあわせ、ポテトサラダ
・くだもの:缶詰、コンポート
・乳製品:牛乳寒天、ヨーグルト
・穀類:餡かけうどん、全粥、軟飯、パンがゆ、フレンチトースト
練りごま、ピーナッツバター、マヨネーズ、小麦粉、すりおろした長芋、すりおろしたレンコン、茹でてつぶした里芋、オクラ(種は除く)、納豆、なめたけ、つぶした絹豆腐 など
次に、介護食の種類別に、さらに詳しく調理のポイントと注意点を踏まえてみていきましょう。
刻み食は、通常の食事や食材を細かく刻んだもので、食べる方の状態にあわせて5ミリから2センチくらいのものまで様々です。飲み込む力がある方は刻み食から試してみるのがおすすめです。口の中でまとまりにくいものはとろみをつけて誤嚥を防ぎましょう。
<適している方>
<向かない方>
適度にとろみをつける
食材によっては、細かく刻むことで口の中でまとまりにくく、むせたり、誤嚥を招くことがありますので注意が必要です。スムーズに飲み込むことができるとろみ付けなどで調整しましょう。
ソフト食は、舌や歯茎でもつぶせるくらい柔らかく仕上げた食事で、味や見た目は通常の食事と変わりません。食材ごとにペースト状にして型に入れて固めるので「ムース食」ともよばれます。ほかの介護食に比べて作るのは大変で手間がかかりますが、 見た目が通常とほとんど変わらないことから、食べる楽しみを実感しやすいというメリットがあります。
<適している方>
(1)やわらかさの目安:プリン
(2)肉は脂身のあるものを選ぶ
*脂身のある方が、脂が溶けて喉越しがよくなり食べやすくなります
*赤身は筋を切ったり、叩くことでやわらかくなる
*ひき肉は卵などのつなぎを使ってまとめる
(3)魚は多脂質のものを選ぶ
*加熱すると崩れやすいのでなるべく多脂質のものを選ぶようにします。
*骨を残さないよう注意して取る
*煮込む、すりつぶしてツミレにする、蒸すなど
(4)野菜の繊維を断ち切る・皮をむく・加熱する
繊維の多い野菜でも繊維と直角に切るなど、切り方次第で食べやすくなります。
やわらかさ度合いも調理法もさまざまで、適切な食事でないと誤嚥などの原因となる可能性もあるので注意が必要です。また、通常の食事を作るよりも手間と時間がかかるため宅配食事サービスや市販のものを活用するのもおすすめです。
ソフト食でも食べることができないくらいに噛む力が弱く、飲み込みも苦手な方向けの食事で、一度調理したすべての料理や食材に出汁などの水分を加え、ミキサーにかけてポタージュ状にします。
<適している方>
(1)やわらかさの目安:ケッチャプ
(2)出汁などの水分を加えてミキサーにかける
(3)なめらかでベタつきのない適度なとろみづけをする
(4)ペースト状やゼリー状の食材を利用する
(5)一品ずつミキサーにかけてメニューごとに盛り付ける
さらに、ミキサー後にこし器でこすと、ミキサーにかかりきっていない食材を除くことができ、誤飲防止につながります。
繊維質の多いもの、酸味の強いものはミキサー食に不向きです。
また、食感や見た目が劣り食欲を刺激せず、おいしさを感じにくいので食欲を失うことがあります。そのため、ミキサーをかける前の食事をみてもらう、一品ずつ分けて盛りつけるなどの工夫が必要です。
ミキサーをかけるときに水分を加えているので、量が多くなり一度の食事で必要な栄養素を摂取できない場合も出てきますので、栄養バランスが重要となります。さらに、水分の多いものは無意識に喉まで流れ込み誤嚥につながりますので、適度にとろみをつけますが、強すぎると喉に張りつくなど、飲み込みにくくなるので適度な粘度になるように仕上げましょう。
食事をミキサーにかけペースト状にし、さらに飲みこみやすくゼラチンや寒天、でんぷんなどを加えてゼリー状やとろみづけした食事です。お茶やみそ汁のようにさらっとしたものでも食べにくいと感じ、誤嚥などの原因となりますので、飲み込みやすくするためのとろみづけなどをします。
<適している方>
(1)基本はゼリー状やゼラチン寄せ
なめらかでザラつきやベタつきのないゼリー状にする
(2)ゼリー状に近い食材を使用する
また、素材そのものがゼリー食として活用できるものがあります。例えば、卵豆腐、具なしの茶わん蒸し、水ようかん、プリン、ババロア、ゼリーなど。水分補給には、スポーツドリンクやお茶、ジュースなどを固めたものがおすすめです。
食事だけでは十分な栄養をとれないことがあるため、飲み込みやすいゼリータイプの栄養補助食品を 活用するのもおすすめです。
介護食を安全においしく食べてもらうために、調理法のほかに、次のような工夫を取りいれてみましょう。
護食をつくるうえで、適切なやわらかさと形状にする重要性は理解いただけたと思います。
ただし、通常食と比べると介護食はどうしても見た目が劣りために食欲がわかなかったり、味つけが好みでなく、おいしくないと思うことがあるかもしれません。せっかく作って食べてもらえなかったりすると、作る方もガッカリしますよね。
このように見た目や味つけは、食欲に大きく影響する大切なポイントとなります。
など、見た目からおいしい介護食になるように工夫をしてみましょう。
また、味付けの好みは個人差が大きくなりますが、年齢を重ねるごとに濃いめの味付けを好む傾向があります。
健康管理には塩分の取りすぎに注意が必要となりますので、しっかりと出汁をとって旨味成分を活用し、薄味でもおいしくなるようにしましょう。
正しい姿勢で食事をすることは、誤嚥防止にもなる重要なポイントです。
また、ゆったりと落ち着いて食べることのできる環境をつくることも大切です。
例えば、
おいしく、安全に食事をするためには、その方にあったやわらかさや形状にすることが重要なポイントということは、これまでの章で解説をしてきました。
しかし、逆をいえば、身体の状態にあわない介護食だと、かえって誤嚥などの危険性が増してしまいます。
介護食の種類選びなどに悩んだら、ケアマネジャーや主治医、通っているデイサービスの職員などプロに相談をしてみましょう。食事の時に気をつけることなども具体的なアドバイスも期待できます。
介護のプロへの相談のほかに、目安となるセルフチェックができるものとして以下の2つがあります。
これらは、市販の介護食の商品パッケージにも表示されています。介護食を始めるときに、どの区分にあてはまるのかチェックして、実際にその商品を試してみるのがおすすめです。
また、作る方も試食してみると、塩味や味付けの濃さなど、介護食をつくる時の参考になります。
介護される方の食事の楽しみを増やしたり、料理をつくる方の気分転換のためにも、たまには家族での外食するのもおすすめです。最近では、事前に予約をすることで飲み込む力が弱い方にあわせたメニューを用意してくれる飲食店が増えてきました。
また、介護される方の食べたいリクエストを聞くと、意外にもハンバーガーやフライドチキンが食べたいという意見があったりします。このような場合も、携帯に便利な個装スティックのとろみ剤を持参して、付けあわせの料理や飲み物などを工夫するなど、可能な限りで叶えてあげたいですよね。
さらに、外食だけでなく、スイーツやおせち料理、うな重などと、介護食の宅配サービスや通販もバリエーションが豊かになってきました。これらとレトルトなども上手に活用しながら、頑張り過ぎないように続けることが大切です。
いかがでしたか?
一見、大変そうに思える「介護食」も基本をおさえれば、難しいものではありません。以前のように楽しく食事をする姿がみることができたら、作りがいもあって、うれしいですね。
また、ここでは「介護食」について解説をしましたが、まずは「最近、食欲が落ちてきたな」と思ったら、
などの工夫で食欲の向上につなげてみましょう。
それでも、変わらなければ、食べる力が関係しているかもしれませんので、「介護食」を取りいれるというステップがおすすめです。もちろん、頑張りすぎるのもよくありません。時には、宅配サービスやレトルトフードを活用したり、外食をしたりと、楽しい食事の時間を過ごしてくださいね。
※当該記事に関する個別のお問い合わせは受け付けておりません。また、記事中の触れられている法的見解についての責任は一切負いかねます。所管の自治体窓口または弁護士などの専門家にご相談ください。「そよ風」のサービスに関してのお問い合わせや不明点は、お問い合わせフォームより受け付けております。
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事業統括本部部長(拠点サポート部署)
渡邉 祐貴
(介護福祉士・介護支援専門員)
介護現場に10年従事し管理者、生活相談員、計画作成担当者など様々な役務をデイサービス、ショートステイ、グループホームで経験。介護福祉士、介護支援専門員等の資格を取得し、介護の専門性を磨く。
その後、現在の役職となり介護業界での経験は約20年。
現場の感覚を忘れずに、課題や問題点を抽出し、その対策に日々取り組んでいる。
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