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そよ風が教える介護の基本

ミンナノミライは介護施設「そよ風」を展開する株式会社SOYOKAZEが
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介護の基礎知識

要介護3とはどんな状態?要介護2・4との違い、入居できる施設・サービス

親の要介護認定を申請したら「要介護3」と判定されたけど、「一体どの程度の状態なの?」「使える介護サービスや施設を知りたい」と思っていませんか?

「要介護3」とは、生活全般に介護が必要になる状態です。自力での立ち上がりやスムーズな歩行が難しくなり、トイレや入浴での介助、着替えなどの身の回りのことにも介護が必要になります。また、理解力や思考力の低下もあり、基本的に24時間の介護が必要となります。さらに、中重度の要介護の方が入居できる特別養護老人ホーム(特養)への入居が可能となります。

この記事では

  • 「要介護3」とはどんな状態なのか
  • 要介護2や4との違い
  • 使える介護保険サービスやケアプラン例
  • 入居できる施設

などについて紹介します。

「要介護3」についての基本的なことが一通りわかりますので、介護保険サービスの利用や施設入居の検討など、適切なケアが受けられるよう参考にしてみてください。

※当該記事に関する個別のお問い合わせは受け付けておりません。また、記事中の触れられている法的見解についての責任は一切負いかねます。所管の自治体窓口または弁護士などの専門家にご相談ください。

1.「要介護3」とは24時間介護が必要な状態で認知症の方も多い

要介護1~5の中間にあたる「要介護3」は、一般的に要介護の一つの節目として扱われます。

介助なしでもできることはありますが、

  • 身体的な衰えによって自力での立ち上がりができない
  • スムーズな歩行ができない
  • トイレや入浴、食事で介助が必要
  • 服の着替えなど身の回りのことに介助が必要

など、日常のほぼすべてに介護が必要となります。

また、身体能力の低下だけでなく、理解力や記憶力の低下があり、認知症の症状がみられることも多くなります。認知症の症状により大声や奇声をあげる、徘徊、妄想など常時対応しなくてはならない傾向があり、その症状で「要介護3」と認定されることも少なくありません。

1-1 「要介護2」「要介護4」との違いは介護の必要度

「要介護2」と「要介護3」の大きな違いは、日常生活でどれだけ介護が必要なのかです。

「要介護2」はその時により手助けや見守りをする程度の軽度の介護でしたが、「要介護3」では一人でできないことが多く、日常のほぼ全てのことに手助けが必要となる重中度の介護が必要です。食事、入浴、排泄、自力での立ち上がりや歩行が一人ではできず、24時間介護が必要となります。

また、認知症の悪化による理解力の低下で問題行動がみられることが多くなります。そのため「要介護3」になると介護する負担が大きくなり、家族だけでは難しいと感じ、施設に入居するケースが多くなります。特別養護老人ホーム(特養)への入居が可能となるのも「要介護3」からです。

「要介護4」になると、介護なしでは日常生活を送ることが難しく重度の介護が必要となります。

自力での立ち上がりや歩行の難しさに加え、立っていることもできなくなり、寝たきりの場合もあります。また、理解力の低下が進み意思疎通が難しくなることもあり、暴言や暴力、不潔行為といった問題行動が増えるなど、常に側にいなくてはならないことが多くあります。

2.利用できる6分類の介護保険サービス

「要介護」を認定されると以下の6分類の介護保険サービスを利用できるようになります。

  1. 介護サービスの相談・ケアプランの作成
  2. 自宅で受ける家事援助などのサービス
  3. 施設などに通って日帰りで受けるサービス
  4. 施設などに宿泊して受けるサービス
  5. 自宅への訪問、施設への通い・宿泊を組み合わせて受けられるサービス
  6. 福祉用具レンタル

これらのサービスは「要介護1」から利用できますが、そのうち福祉用具レンタルは「要介護2」からほとんどのものが利用できるようになります。

(参照)厚生労働省「公表されている介護サービスについて

それぞれの内容を具体的にみていきましょう。

2-1 介護保険サービスの相談・ケアプランの作成

介護保険サービスは、要介護認定を受けたからと言ってすぐに利用できるわけではなく、適切な利用ができるように、ケアマネジャーにケアプランを作成してもらう必要があります。

ケアプランは一人ひとりにあった介護保険サービスの種類や頻度などでプランニングされ、身体の状態が変わるなど、必要に応じて見直しが行われます。

さらに詳しく知りたい方は「居宅介護支援とは?3つのサービス内容・利用条件・利用の流れを解説」をあわせて読んでみてください。

2-2 自宅で受ける6つの介護保険サービス

自宅で受ける介護保険サービスは6種類あり、ホームヘルパーや看護師などの専門職がサービスを行います。 なお、「地域密着型サービス」は原則としてサービス事業所と同じ市区町村にお住まいの方のみが利用できます

種類 サービス内容
訪問介護(ホームヘルプ) ホームヘルパーが自宅を訪問し、食事・排泄・入浴などの身体介護や、掃除・洗濯・買い物・調理などの生活支援を受けられます。
訪問入浴 自宅の浴槽で安全に入浴できない場合に、看護スタッフと介護スタッフが自宅を訪問して、持参した専用の浴槽で入浴の介護を行います。
訪問看護 看護師や保健師などが疾患のある方の自宅を訪問し、主治医の指示に基づいた療養上のケアや診療の補助、助言などを行います。
訪問リハビリ リハビリの専門職である理学療法士や作業療法士、言語聴覚士などが自宅を訪問し、医師の指示に基づきリハビリテーションを行います。また自宅環境に関する整備や助言も行います。
夜間対応型訪問介護 (※地域密着型サービス) 夜10時から翌朝6時までの夜間にホームヘルパーが自宅を訪問し、排泄の介助や安否確認を行います。また、急に体調が悪くなったり、転倒して自力で起きあがれないときなどに、ホームヘルパーを呼ぶことで介助を受けたり、救急車の手配などを行います。
定期巡回・随時対応型訪問介護看護 (※地域密着型サービス) 介護スタッフと看護師が連携して、24時間365日必要な介護サービスや療養上の世話、診療補助を必要なタイミングで行います。

地域密着型サービスについては「地域密着型サービスとは?10種類のサービス内容と利用条件をわかりやすく」の記事をあわせて読んでみてください。

2-3 施設などに通って日帰りで受ける5つの介護保険サービス

日帰りで施設などに通って受ける介護サービスは5種類あります。 ここでも「地域密着型サービス」は原則としてサービス事業所と同じ市区町村にお住まいの方のみが利用できます

種類 サービス内容
通所介護(デイサービス) デイサービスセンターなどに通い、食事や入浴などの介護サービス、レクリエーション、機能訓練など、日常生活上の支援や機能向上のためのサービスが受けられます。利用者同士の交流もあり気分転換や引きこもり防止などのメリットがあります。介護する方の負担軽減のためにも利用することができます。
通所リハビリ(デイケア) 医師からリハビリが必要と診断された方が介護保険老人保健施設や病院などに通いリハビリを行います。デイサービスとの違いは医師が常駐していることや、リハビリ専門職のスタッフによるリハビリ中心のサービスとなることです。そのため、送迎や食事、入浴などのサービスがないところもあります。
地域密着型通所介護( ※地域密着型サービス) 利用定員18名以下の小規模なデイサービスで、一般的なデイサービスと同様のサービスが受けられます。スタッフや他の利用者と顔なじみになりやすくアットホームな雰囲気です。
療養通所介護 (※地域密着型サービス) 常に看護師による観察を必要とする難病や認知症、脳血管疾患後遺症などの重度要介護の方または、がん末期患者を対象としたデイサービスです。医療と介護が連携して食事や入浴など日常生活上の支援や機能向上のためのサービスを受けられます。
認知症対応型通所介護 (※地域密着型サービス) 定員12名以下の小規模で、一般的なデイサービスと変わりませんが、認知症に関する専門的なケアを受けられます。

2-4 施設などに宿泊して受ける2つの介護保険サービス

施設に短期間宿泊して介護を受けるサービスは以下の2種類あります。

種類 サービス内容
短期入所生活介護(ショートステイ) 特別養護老人ホームなどに短期間入所して、食事や排泄、入浴などの日常生活上の支援や、機能訓練などのサービスが受けられます。通常は数日から1週間程度の入所となりますが、場合によって30日間まで利用できます。介護する方が自宅での介護が困難になったときや冠婚葬祭、負担軽減として利用することができます。
短期入所療養介護 医療機関や介護老人保健施設、介護医療院に短期間入所して、医師や看護師、リハビリ専門職などによる医療や看護、機能訓練、日常生活上の世話などのサービスが受けられます。ショートステイ同様に一時的に自宅での介護ができない場合や、介護する方の負担軽減としても利用できます。

2-5 訪問・通い・宿泊を組み合わせた2つの介護保険サービス

自宅への訪問と施設への通い、短期間の宿泊を組み合わせて利用できる介護保険は2種類あります。 いずれも地域密着型サービスのため、基本的にサービス事業所と同じ地区町村にお住いの方が利用対象となります。

種類 サービス内容
小規模多機能型居宅介護 (※地域密着型サービス) 小規模な一つの事業所が、通い・訪問・宿泊の3つのサービスを提供し、月額定額性で利用することができます。24時間365日利用でき、いずれも同じ施設のスタッフがサービスを行うことで利用者の状態に柔軟に対応できるメリットがあります。
看護小規模多機能型居宅介護 (複合型サービス) ※地域密着型サービス 「小規模多機能型居宅介護」に「訪問看護」を組み合わせ、医療と介護の一体的なサービスを受けることができます。

2-6 レンタルできる福祉用具12品目と購入できる6品目

「要介護3」の方が介護保険でレンタル可能なものは以下の12品目です。

  1. 車いす(付属品を含む)
  2. 車いす付属品
  3. 介護用ベッド
  4. 介護用ベッド付属品
  5. 床ずれ防止用具
  6. 体位変換機
  7. 手すり
  8. スロープ
  9. 歩行器
  10. 歩行補助杖
  11. 徘徊感知器
  12. 移動用リフト(つり具の部分を除く)

いずれも1か月のレンタル料金の1~3割の料金で利用することができます。

また、福祉用具のなかでも直接肌に触れるものはレンタルに向かないため、「特定福祉用具」として購入するが可能です。対象は以下の6品目です。

  1. 腰掛便座
  2. 自動排泄処理装置の交換可能部品
  3. 入浴補助用具(入浴用いす、浴槽用手すり、浴槽内いす、入浴台、浴室用すのこ、浴室用介助ベルト)
  4. 簡易浴槽
  5. 移動用リフトのつり具部分
  6. 排泄予測支援機器

「特定福祉用具」は介護保険サービスの利用とは別に、年間10万円を上限として、購入費の1割で購入することができます。

福祉用具のレンタルや購入については「福祉用具レンタルが購入よりおすすめの理由・介護保険対象13品目・利用方法」の記事を参考にしてみてください。

<介護リフォームの給付金制度>
介護保険サービス以外にも、階段に手すりをつけたり、床の段差をなくすなど、高齢者が自宅で安全に暮らし続けるためのリフォームに対して、介護保険から最大20万円の給付金がでます。対象となるリフォーム内容や申し込みは、すべてケアマネジャーに相談しましょう。

また、介護リフォームについて知りたい方は「【簡単解説】失敗しない介護リフォームのポイント・費用・優遇制度まで」を参考にしてください。

3.サービス利用は限度額内なら1~3割で利用できる

介護保険のサービス利用には、支給限度額が設定されています。

この支給額内であれば、介護サービスにかかった費用の1~3割の自己負担で利用することができます。ただし、限度額を超えてサービスを利用した場合は、超えた部分は全額自己負担となるため注意が必要です。

参考までに介護度別の利用限度額を一覧にまとめます。この1割(または2~3割)が自己負担額となります。

1か月あたりの利用限度額

※令和1年12月時点
※お住いの地域や条件により異なります。

上記表に基づくと「要介護3」の方は270,480円まで1~3割の負担で介護保険サービスを利用することができます。

ケアプランの内容は個人の状態により異なるため、ケアマネジャーと相談しながらプランニングしていきますが、一例として、自宅でご家族が介護している場合のケアプラン例をあげてみます。

<要介護3・ケアプラン一例>

サービス(利用回数)費用(1か月)
デイサービス(週3回)
訪問介護(週5回)
訪問看護(週1回)
訪問リハビリ(週1回)
ショートステイ(月1回/3日)
福祉用具レンタル(介護ベッド、歩行器)
10,596円
7,880円
3,264円
1,160円
2,166円
1,350円
合計26,416円

※利用者負担1割の場合の料金です。(2022年2月記事執筆時点)
※料金は事業者や利用内容により異なります。一例としてご覧ください。

4.「要介護3」の方が利用できる施設は9種類!特養にも入居が可能

基本的に24時間の介護が必要となる「要介護3」は、介護をする家族の負担が大きくなることから、

施設に入居する方が多くなります。また、入居費用が安くて人気のある「特別養護老人ホーム(特養)」の入居が可能となります。

「要介護3」で入居できる施設は以下の9種類です。

  1. 特別養護老人ホーム(特養)
  2. 介護付き有料老人ホーム
  3. 住宅型有料老人ホーム
  4. サービス付き高齢者向け住宅
  5. グループホーム
  6. シニア向け分譲マンション
  7. ケアハウス(介護型)
  8. 介護老人保健施設
  9. 介護医療院

それぞれ、どんな特徴のある施設なのか費用もあわせてみていきましょう。

※費用は施設の立地・設備により異なります。また、各種ごとの加算費用は含まれていません。

「要介護3」は認知症が進んでいる方も多いため、認知症ケアに特化したサービスを提供してくれる「グループホーム」なら、落ち着いた生活環境で認知症の症状を遅らせるケアも受けられます。ただし、身体の要介護度が高い場合には入居できないことや、特養同様に入居待ちが長くなる可能性がありますので、他の施設もあわせて検討してみましょう。

グループホームについて詳しく知りたい方は「グループホームとは?認知症ケアに特化したサービス内容・費用・選び方まで解説」をあわせて読んでみてください。

また、施設のなかには入居期間や条件が設けられ、介護が必要になると退去しなくてはならない施設もあります。どんなケアや暮らしを優先するか、将来的に要介護度が高くなった場合にどうするかを視野に入れておきましょう。

そのうえで、入居する方にあう施設を選ぶために、まずは情報収集していきましょう。資料は施設に直接電話するかホームページなどで請求できます。また、ケアマネジャーに相談して希望する条件にあう施設をいくつか紹介してもらうこともできます。

なお、資料やホームページだけでは実際の施設の雰囲気や生活の様子を確認することはできないので、複数の施設を見学することが大切です。3件以上の複数を見学すると、それぞれの特徴も明確になり、入居する方にあった施設を選ぶことができます。

さいごに

「要介護3」は身体的な衰えに加え、認知症が進行している方も多くいます。そのため、基本的に24時間の介護が必要となり、自宅で介護するご家族の負担が大きくなります

また介護が長くなる可能性がありますので、自宅で介護を続けるために適切な介護保険サービスの活用をすることはもちろん、施設への入居を検討するのもよいでしょう。

なお、自分でできることは些細なことでも無理のない範囲で行ってもらうことが大切です。すべてやってしまうと、あっという間にできなくなってしまい、それが要介護度をあげることにつながります。できることを増やすことで介護する方の負担が減るだけでなく、介護される方の意欲につながり、介護度が改善する可能性もあります。

※当該記事に関する個別のお問い合わせは受け付けておりません。また、記事中の触れられている法的見解についての責任は一切負いかねます。所管の自治体窓口または弁護士などの専門家にご相談ください。

私たち「そよ風」は様々な介護保険サービスを全国で運営しています。
公式サイトよりお気軽にご覧ください。

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この記事の監修者

株式会社SOYOKAZE
事業統括本部部長(拠点サポート部署)
渡邉 祐貴
介護福祉士・介護支援専門員


介護現場に10年従事し管理者、生活相談員、計画作成担当者など様々な役務をデイサービス、ショートステイ、グループホームで経験。介護福祉士、介護支援専門員等の資格を取得し、介護の専門性を磨く。
その後、現在の役職となり介護業界での経験は約20年。
現場の感覚を忘れずに、課題や問題点を抽出し、その対策に日々取り組んでいる。

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