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介護の基礎知識

【簡単にわかる】歩行器の種類と選び方・費用・介護保険でのレンタル

脚の痛みで自宅にこもるようになった親のために歩行器を選びたいけど、「歩行器は何種類あるの?」「どう選べばいい?」と悩みますよね。

歩行器は大きく分けると3種類あり、身体の状態にあったものを使用しないと症状を悪化させてしまうことがありますので正しく選ぶ必要があります。また、使用する目的などによっても選ぶべきものは変わってきます。

そこでこの記事では、

  • 歩行器の種類とおすすめの方
  • 選び方とメリット・デメリット
  • 購入とレンタルはどちらがよいのか

などについて、まとめて紹介しています。

この記事を読んでいただければ、ぴったりな歩行器の探し方や方法がわかって、手にしたときのことが楽しみになりますよ。

※当該記事に関する個別のお問い合わせは受け付けておりません。また、記事中の触れられている法的見解についての責任は一切負いかねます。所管の自治体窓口または弁護士などの専門家にご相談ください。「そよ風」のサービスに関してのお問い合わせや不明点は、お問い合わせフォームより受け付けております。

<この記事の要点>
・歩行器は固定型・交互型・キャスター付きの3種類があり、身体状態に合わせて選ぶ
・選定時は自己判断せず、専門家のアドバイスを受けることが重要
・介護保険を利用すれば、月額数百円程度でレンタルが可能である
・メンテナンスや身体状態の変化にあわせた選択が容易なため、購入よりもレンタルが推奨される
・合わない製品は症状悪化のリスクがあるため、機能性を優先して選ぶべきである

1.歩行器の種類は大きく分けると3つ

加齢による筋肉の弱まりや体力の低下で立ち歩きするときのバランスが崩れ、長距離の歩行が困難になってきます。それらをサポートしてくれるのが歩行器です。

歩行器を使用することで、両腕で体重を支えるため脚にかかる負担や痛みの軽減が期待でき、転倒しにくくなります。

歩行器の種類は大きく分けると以下の3種類です。

  1. 固定型歩行器(ピックアップ型歩行器)
  2. 交互型歩行器
  3. キャスターつき歩行器(歩行車)

1-1 歩行器3種類の特徴とおすすめの方

それぞれどんなものなのか詳しくみていきましょう。

固定型歩行器(ピックアップ型歩行器)

最もスタンダードなタイプで、最も安定性に優れています
身体の前面と側面をコの字で囲むようなフレームになっているもので、 両手でハンドグリップをつかんで身体を支えます。

使い方は、歩行器を持ち上げて前方につき、フレームに両手で身体を支えてから歩み進めるという動作を繰り返します。軽くて持ち上げやすいので、階段の昇降も可能です。

移動の速度は遅いため、屋内での使用に向いています。収納に便利な折り畳みができるものがありますが、折りたためないものよりも重さがあります。

また、高さを調整できるものなどもあります。

「固定型歩行器」がおすすめの方

上半身にある程度筋力のある方
脚に痛みがあり筋力が弱い方
杖では歩行が不安定になる方

交互型歩行器

固定型と似たような構造ですが、左右のフレームをそれぞれ動かすことができます。

使い方も歩くときに手を振るように左右のフレームを前方へ動かし進みます。固定型よりもバランス機能が必要となりますが、左右どちらかの足が常に地面に接しているため安定性が高くなります。

「交互型歩行器」がおすすめの方

片足に痛みのある方
姿勢バランスが取りにくく歩行が困難な方

キャスターつき歩行器(歩行車)

左右のフレームの下にキャスターや車輪がついていて、押しながら歩きます。

両手で支えながら歩くタイプと、肘など両腕で支えながら歩くタイプのものがあります。ハンドブレーキや腰かけ、買い物に便利な荷物入れがついたものなどもあります。

さらに、基本的な機能に加えて、モーターや傾斜センサーが備わっているもの、折りたたみ、高さや幅調整、ブレーキ機能がついているタイプなどもあります。

折りたためる対応はバスなどの乗り物を利用するときに便利ですし、坂道でもブレーキやモーターがついているものなら安全に使えます。ただし、その分重さも出てくるので、どのタイプがあっているのか普段の生活環境などにあわせて選ぶことが大切です。

「キャスターつき歩行器」がおすすめの方

足腰に痛みのある方
筋力の弱い方
リハビリをはじめたばかりの方

1-2 歩行器以外に歩行をサポートする主なアイテムは2つ

歩行器を探している方でも他の歩行サポート用品の方があっている場合がありますので参考までにみてみましょう。

主には以下の2種類です。

  1. 歩行補助杖
  2. シルバーカー

それぞれおすすめの方を以下にまとめます。

  • 腕と脚の筋力が弱く自立歩行が難しい方:歩行器
  • 腕の筋力があり自立歩行ができる方:歩行補助杖
  • 自立歩行はできるが足腰の筋力が弱い方:シルバーカー 

「歩行補助杖」は、比較的歩行バランスのよい方に向いています。また、「シルバーカー」は歩行を補助するもので、対象は自立歩行が可能な方です。何かにつかまったり、支えがないと歩けない方には向いていません。

2.歩行器の選び方3つのポイント

歩行器は、身体状態にあわせて適切なものを選ばないと、症状が悪化するなどの逆効果になることがあります。転倒などの事故にもつながり危険です。

選ぶ際には以下の3点に注意しましょう。

  1. 利用場所や目的を明確にする
    バリアフリーの室内であれば、どんなタイプの歩行器でも使うことができますが、段差がある環境の場合は、持ち上げができないものは適しません。
    また、坂道が多い、主にバスに乗って通院したい、買い物に使用したいなど使用シーンによっても 選ぶものは変わります。室内でもトレイつきの歩行器なら、食事を運ぶなどの家事にも便利です。
  2. 身体状態にあったものを選ぶ
    筋力の状態や歩行レベル、体力にも配慮する必要があります。
    脚だけでなく腕などの上半身の筋力、左右のバランスなども見極めて適切なものを選びましょう。
  3. 体格にあったサイズや高さに調整する
    歩行器は主に手や腕を使って安定させるので、グリップの位置が高いと腕に負担がかかり、逆に低いと不自然な前傾姿勢になってしまい、症状を悪化させてしまう恐れがあります。高さを調整できるものを選び、専門家に相談しながら調整しましょう。

これらを自己判断するのは、とても難しく危険ですので、専門的な知識をもったスタッフに相談するようにしましょう

3.「歩行器」は介護保険でレンタルできる

歩行器は、介護保険でレンタルできる福祉用具です。このサービスを提供できるのは市区町村(または都道府県)の指定を受けた「福祉用具貸与事業者」のみです。専門知識をもった福祉用具専門職員が、身体状態や環境にあった用具を選ぶサポートをしてくれます。

利用対象

要支援1・2、要介護1~5

費用の1か月あたりの目安

数百円程度

※自己負担1割の場合(一定以上の収入がある方は2~3割負担となります)
※市区町村や事業者により異なります

相談窓口

  • ケアマネジャー
  • 地域包括ケアセンター

なお、使用しても負担が軽減されないなど、身体状況によっては、福祉用具専門職員やケアマネジャーだけではく、主治医や看護師、理学療法士などのアドバイスも受けて、適切なものを選ぶようにしましょう。

3-1 購入するよりレンタルがおすすめ

歩行器などの福祉用具は身体状態にぴったりあったものを使用しなくてはなりません。

レンタルの場合は、福祉用具専門職員が自宅に訪問して、

  • 定期的なメンテナンスを行い不具合がないか確認してくれる
  • 身体状態の変化にあわせてベストなものに選びなおしてくれる

このようにレンタルなら、専門職員が定期的に、メンテナンスや調整、交換を行ってくれるので安心して利用できます
さらに、アフターサービス費用は無料です。

また、レンタルは1か月単位での更新となりますので、利用を終了した場合に歩行器の引き取りをしてくれるので、まずは試しに使ってみたいという方も気軽に利用できるのでおすすめです。

※令和6年度介護報酬改定にて、歩行器(歩行車は除く)を含む一部の福祉用具について、貸与と販売の選択制が導入されました。これは福祉用具を適時・適切に利用するための観点から導入されたもので、貸与だけでなく販売後においても使用状況を適宜確認し、使用方法の指導等のサポートが行われるとのことです。詳しくはケアマネジャーにご確認ください。

4.歩行器を使うメリット・デメリット

ここで歩行器を使用するメリットとデメリットをみておきましょう。

メリット

  • 膝や腰などの痛みを軽減する
  • ふらつきを防ぎ安定して歩ける
  • 歩行距離やスピードがあがる
  • 日常生活での行動範囲が広がる

歩行器の目的は「歩行の安定」にありますが、足腰への負担や痛みを軽減することもできます。これらにより、自分で移動できる範囲が大幅に広がり、健康維持や、自信の回復など精神的にもよい影響をもたらしてくれる期待ができます。

デメリット

  • 身体状態にあわないものを使用すると症状を悪化させることがある
  • 見た目がかっこ悪いと思ってしまいストレスになる

前章でも触れたように身体状況にあわないものを使用すると症状を悪化させたり、転倒などの事故につながる場合があります。
また、歩行器=お年寄りが使うものというイメージや見た目がかっこ悪いなど、使用することに抵抗がある方は、無理に使用させるとストレスになってしまいます。見た目を気にしている場合は、最近では、スタイリッシュなデザインのものなども出てきていることを伝えてみましょう。

5.よくある質問

第5章

さいごに歩行器の種類について、よくある質問をまとめました。

Q1. 歩行器にはどのような種類がありますか?
A. 歩行器の種類は大きく分けると「固定型歩行器(ピックアップ型歩行器)」「交互型歩行器」「キャスターつき歩行器(歩行車)」の3種類があります。身体の状態や使用する目的に合わせて適切なものを選ぶ必要があります。

Q2. 固定型歩行器(ピックアップ型歩行器)とはどのようなものですか?
A. 身体の前面と側面をコの字で囲むようなフレームになっており、最も安定性に優れたスタンダードなタイプです。歩行器を持ち上げて前方につき、フレームに身体を支えてから進む動作を繰り返します。屋内での使用に向いており、上半身にある程度筋力がある方や、杖では歩行が不安定になる方におすすめです。

Q3. 交互型歩行器は固定型とどう違いますか?
A. 固定型と構造は似ていますが、左右のフレームをそれぞれ動かすことができる点が異なります。歩くときに手を振るように左右のフレームを前方へ動かして進みます。左右どちらかの足が常に地面に接しているため安定性が高く、片足に痛みのある方や、姿勢バランスが取りにくい方に適しています。

Q4. キャスターつき歩行器(歩行車)はどんな人に向いていますか?
A. 左右のフレームの下に車輪がついており、押しながら歩くタイプです。足腰に痛みのある方、筋力の弱い方、リハビリをはじめたばかりの方などにおすすめです。ハンドブレーキや腰かけ、買い物に便利な荷物入れがついたものなどもあります。

Q5. 歩行器とシルバーカーの違いは何ですか?
A. 利用する方の身体の状態が異なります。「歩行器」は腕と脚の筋力が弱く自立歩行が難しい方が対象で、歩行の安定や痛みの軽減を目的に使用します。一方、「シルバーカー」は自立歩行ができる方が対象で、主に荷物を運んだり途中で座って休憩したりするための歩行補助用品です。

Q6. 歩行器は介護保険を使ってレンタルできますか?
A. はい、歩行器は介護保険でレンタルできる福祉用具です。要支援1・2、要介護1~5の認定を受けている方が対象となります。費用の目安は、自己負担1割の場合で月額数百円程度です(※市区町村や事業者により異なります)。

Q7. 歩行器は購入するのとレンタルするのとでは、どちらがおすすめですか?
A. レンタルがおすすめです。専門職員が定期的なメンテナンスを行ってくれるほか、身体状態の変化に合わせてベストなものに選び直すことができます。また、不要になった際に引き取りもしてもらえるため、まずは試しに使ってみたいという方も気軽に利用できます。

Q8. 家の中で使う場合、どの歩行器が良いですか?
A. 屋内での使用には、移動速度は遅いですが安定して移動できる固定型歩行器(ピックアップ型歩行器)が向いています。段差のないバリアフリーの室内であればキャスターつき歩行器も使えますが、トイレやベッドサイドなど狭い場所での方向転換や、立ち座りの補助が必要な場合は固定型が便利です。

Q9. 歩行器を選ぶ際に気をつけるポイントはありますか?
A. 主に以下の3点に注意してください。

  1. 利用場所や目的を明確にする(屋内か屋外か、段差はあるか、バスに乗るか等)
  2. 身体状態にあったものを選ぶ(脚だけでなく上半身の筋力やバランス能力も考慮する)
  3. 体格にあったサイズや高さに調整する 自己判断せず、専門的な知識をもったスタッフに相談することをおすすめします。

Q10. 歩行器の高さがあっていないとどうなりますか?
A. グリップの位置が高すぎると腕に負担がかかり、逆に低いと不自然な前傾姿勢になってしまい、症状を悪化させる恐れがあります。適切な高さに調整できるものを選び、専門家に相談しながらご自身の体格に合わせて調整することが大切です。

さいごに

いかがでしたか?

痛みや歩くスピードが気になり自宅にこもりがちになっていた方も、歩行器を使うことで、脚にかかる負担や痛みの軽減が期待でき、自由に出かけたり、行動範囲がぐんと広がります。

最近では、機能性はもちろん、デザインも様々な種類のものが増えてきており、好みにあうものを選ぶことができるようになってきたのもうれしいですね。

ただし、繰り返しになりますが、身体の状態にあったものを使用しないと症状を悪化させてしまうことがありますので、専門的な知識をもったスタッフに相談をしながら正しく選ぶことが重要なポイントとなります。

介護する方も自立歩行してもらうことで、介護の負担も減りますし、何よりも自由にイキイキと行動する姿を見ることができるのはうれしいものです。

ぜひ、ご自宅で介護を続けるためのサポートアイテムとして、歩行器を取り入れてみてくださいね。

※当該記事に関する個別のお問い合わせは受け付けておりません。また、記事中の触れられている法的見解についての責任は一切負いかねます。所管の自治体窓口または弁護士などの専門家にご相談ください。「そよ風」のサービスに関してのお問い合わせや不明点は、お問い合わせフォームより受け付けております。

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この記事の監修者

株式会社SOYOKAZE
渡邉 祐貴
介護福祉士・介護支援専門員


介護現場に10年従事し管理者、生活相談員、計画作成担当者など様々な役務をデイサービス、ショートステイ、グループホームで経験。介護福祉士、介護支援専門員等の資格を取得し、介護の専門性を磨く。
その後、現職となり介護業界での経験は約20年。
現場の感覚を忘れずに、課題や問題点を抽出し、その対策に日々取り組んでいる。

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